方向音痴が歩く

心からもれだしたあれこれ散文備忘録

彼と彼の太陽の瞳

毎日が彼の歌だった頃。



1992年4月25日に起きたことと、

後しばらくはあまり記憶がない。



その少し前、

彼のポートレートを見た。

あまりに透き通っているように見えた。

最後のポートレートだったと知り、

ふにおちた。



雨の護国寺は、

祭壇にはたどり着けないままだった。










2020年7月18日。

訃報を知った。



わたしは年甲斐もなく彼を応援していた。

彼の演じたシャチ、とても素晴らしかった。

最後に更新された写真、

透き通っているように見えた。




「放熱への証」が聞きたくなった。

「太陽の瞳」が流れたら苦しくなった。



本当のことは知る由もない。

彼と彼は星のように遠くで煌めいていた。

駆け抜けた。

わたしは彼と彼よりもずっと年をとっていき、

便利なのか生きづらいのかわからない、

彼と彼のいない世界を、歩く。




「太陽の瞳」尾崎豊


太陽が沈もうとしている夜が 

唸りをあげて暴れている

心が釘打たれるような 傷みを感じている

何も失わぬようにと 

だからこんなに疲れている

僕はたった一人だ 僕は誰も知らない

誰も知らない僕がいる


こんな仕事は 早く終わらせてしまいたい

まるでぼくを殺すために 働くようだ

それでなければ 自由を求める

籠の中に閉じ込められてる 

夢も現実も消えてしまえばいい

僕はたった一人だ 見知らぬ人々が

僕の知らない僕を見てる



一人になって 罪を消そうとしても

自分の戒律の罪は消せない

人は誰も罪人だから 覚えてきたものに捕まえられている

一人になりたくない 争い合いたくない

僕はたった一人だ

僕は僕と戦うんだ

誰も知らない 僕がいる